では、入居者レベルを下げずに(賃料もできるだけ下げないで)高い入居率を保つにはどうすれば良いのでしょう。答えは簡単です。建物や部屋自体に魅力があれば良いのです。手っ取り早い例で言えば、ウォシュレットや乾燥機を設置することですが、入居者が「部屋」に求めているのはなんと言っても快適さです。そしてその「快適さ」の一番は防音にあります。部屋に帰ってくつろぐ場合、隣室の音が気になってしまうようでは住み続けたい家とはなりません。音には高音・低音・振動衝撃音などがあり、種類の異なるこれらの音域対策をいかに低コストで実現するかが勝負となります。建築時の状態そのままで入居が維持できれば一番ですが、借り手市場となってきている賃貸経営はそんなに甘いものではありません。適切なタイミングで「魅力」を追加することが重要です。

 また、実際に入居が確保されてからも、苦情が寄せられた場合には早急な対応が必要です。期間経過等により備品等が不具合を起こすこと自体は仕方ありませんが、速やかに改善への行動を起こしてくれる大家さんとそうでない場合では、入居者に与える印象がまったく異なるものになってきます。内容によっては、工事等が必要ですぐに改善するのが難しいケースもあるかと思いますが、それでも、いつまでには直るという具体的な日にちを入居者に提示することや、代替手段を講じるなどやり方はあるものです。不動産会社任せにしないで対応できるように心がけたいものです。

 結局のところ、賃貸経営とは、建物の弱点をなくして利点を多くすることに尽きます。建物の利点・弱点はその地域や建物ごとに異なりますが、まずは入居者の気持ちを知ることから始めましょう。きっと新たな展開が見えてくるはずです。