賃貸経営に安心をプラスする意味で、家賃保証を利用されるケースが増えてきているようです。確かに、入居の確保に不安がある場合等、家賃保証を付けることで安心を得ることができます。しかし、家賃保証さえ付けていれば長期的な安心が得られるかといえば、そうとは言い切れないので注意が必要です。

 賃貸物件を建設する場合、まずは近隣の状況を踏まえた上で収支計算書を作成することになります。収入は厳しく評価して小さめの数字を想定し、支出は安全率をより高めるために大き目の数字を想定するのが理想です。しかし、どうしても収支に期待的要素を盛り込んでしまったり、支出は抑え目な数字を採用してしまったりするのが現実で、失敗するケースではほとんどこの過ちを犯していると言えます。

 賃貸保証を付けていれば、空室の影響を受けずに家賃収入は確保できるし、20~30年といった長期保証となっているのだから問題はない。そう思われる方も多いでしょう。しかし、家賃保証を付けることによって発生する新たなリスクは回避できません。たとえば、保証をお願いしていた会社が倒産したような場合です。別の保証会社にお願いするにあたって、収支計算自体がしっかりしていれば同等の保証が得られるでしょうが、そうでなければ条件は確実に悪くなります。特に、従前の保証が建築をお願いした会社の関連企業である場合には、甘い設定になっていることが多いので要注意です。どんなに大きな会社であっても、倒産しないとは言い切れません。会社がどんなに大きくても、大きな見直しが行われたり、会社更生法による更正がなされるのが今の時代です。会社名に惑わされることなく、本質の見極めが大切です。
 また、20年30年の長期保証であっても、査定見直しは2~3年に一度行われるのが一般的です。最初に提示された条件がどんなに良くても、条件が更新毎にダンピング的に下げられてしまう場合すらありますので、契約内容もきちんと確認したいものです。