1.駅からの距離 バス停までの距離(バスの本数)

 不動産会社の広告などでよく目にする「徒歩○分」というのは、1分=80mで計算されています。たとえどんなに急勾配の坂が存在しても一律で、場合によっては不動産会社の方が歩いた感覚で「だいたい○分くらいかな」と決められてしまうこともあるほどです。ですから、実際にご自身の足で歩いてみることが重要です。特にバスを使って最寄り駅まで出るような場合には一時間に何本バスがあり、乗り遅れた場合には何分のロスが生じるのか、という点も意識したいところです。
 また、ご家族で住まわれる場合には、ご自身だけでなくお子さんやご年配の方の歩行ペースや道路状況も考慮する必要があります。見学に行った日が晴天だとしても、生活が始まれば足元の悪い日も必ずあるからです。そして将来的に足腰に不安を感じるようなことがあったとしても、問題なく生活ができる立地であることが望ましいのです。

2.大型マンションであれば1階フロアーまでの時間

 駅からどんなに近い物件であっても、玄関から建物外へ脱出するのに何分もかかってしまうようでは駅近のメリットも半減してしまいます。実際に見学に行かれた時に不都合を感じなかったとしても、見学に行かれたのと同時間帯にエレベーターを利用するのでないのなら少し考えてみる必要があります。
ファミリー向けのマンションであれば、朝早いお父さんたちの通勤時間帯に子供たちの通学時間帯。そして家族を送り出した後にパートやお買い物に出かけるお母さんたちの利用時間帯。目的地がバラバラであったとしても、思いのほか時間帯は重なってきてしまいます。タイミング悪く乗り遅れた場合の最大待ち時間に各階毎に停車する時間を計算してみると、より現実的な検討になります。
また、最上階に住んでいる方では、各階毎に乗り込んでくるご近所さんへの挨拶が多すぎて苦痛だなんて声も聞かれますのでご参考までに。

3.最寄駅のランクを知る

 関東圏であれば、新宿駅・渋谷駅・東京駅などの主要都市までの所要時間がひとつの目安となります。ご自身の目的地までへのアクセスも確かに重要ですが、主要都市までのアクセス(乗り換え回数や所要時間)が良い物件は万が一の売却時にも有利に働きます。
 ただ、ここで気をつけたいのがどんなに主要都市に近くても、ほとんどの列車が通過するマイナー駅は避けるべきだということ。距離的には少し遠くても、ある程度の列車が止まる駅の方がストレスなく都心へ出られたり、駅前の施設などが充実していたりするのでオススメです。

4.建物近辺の道路巾、停滞状況

最近はエコに対する意識からか、マイカー通勤される方は減ってきているようですが、普段あまり車を使わなくても考慮に入れる必要があります。大通りに面した物件では、夜中に走行する車の音がストレスになるかもしれませんし、大通りではなかったとしても、ドライバーの裏道として利用されている場合には結構なスピードの車が頻繁に通るということにもなりかねません。
 また、昼間に停車中の車が多い道路では死角をつくりやすく、小さなお子さんのいる場合には注意が必要です。道路巾が広ければ良い、狭ければ良いといった基準はありませんが、検討漏れのないようにしたいポイントです。

5.当該都市の財政・区画整備・福祉状況を知る

 物件自体がとても好条件だとしても、その所在地の状況も見逃せない点です。都市の財政状況は福祉などにも影響を及ぼします。今は健康で何の問題もないから福祉なんて・・・と、つい考えてしまいますが、福祉は何も老後だけに関わることではありません。例えばお子さんが通う学校がどういう状態なのか。教育水準で言えば、日本国内でそれほどの差異はないかもしれませんが、それ以外の部分でも、整備されているほうが良いに決まっています。さらに、財政状況が良い地域と悪い地域では税金も違ってきますので考慮したほうが良いでしょう。
 また、区画整備は地方側が今後どのような街づくりを目指しているかを知るうえで重要です。「緑豊かな町づくり」というのは緑を大切にするので、逆を返せば商業化は難しい区域といえます。環境が気に入って購入するケースであれば問題ありませんが、土地の値上がりなどを期待する場合には向いていません。表面的な言葉をとらえるだけでなく、その裏側にどういう価値観があるのかを知ることが大切なのです。